今できること
この広大な緑
何事もなかったかのように青く美しい
死の影などみじんもない
放射能は降り注いでいるのだろうか
家々の屋根はところどころ青いビニールシートで覆われ、
置き石がされている
私はなにを見ようというのだろう
あの瞬間はどんなふうに訪れたのだろう
私と同じように列車に乗っていたあのときの人たちは予感があったのだろうか
ねずみたちはもぐらたちはすでに移動をはじめていたのだろうか
大地に耳をつけてその声を聞いていたら
その苦しみを聞いていたなら…
けれど今目の前に広がる石巻の海はきらきらと輝いて
穏やかであまりにも美しい
この町の人たちはどんなにかここを愛していたことだろう―
(2011.7.10石巻に向かう列車の中でペンを執りました ジーナ今井)